総合科学部で学ぶ心理学の魅力~地域から世界を見通す~

2023.05.20
福森先生 総合科学部の「多様で学際的な学び(1年次やコースを越えた学び)」は、心理学を実践的に学ぶ上でどのように役立っていますか?
河村さん 1年次には英語のみを用いて発表やレポートを作成する講義をいくつか受講しました。こうした講義での学びは英語力の向上につながったと思います。心理学を学ぶ際に、英語の論文や文献を読む機会は多くあるので、1年次からたくさんの英語を学ぶ機会があったことがよかったと思います。また、総合科学部の授業の中で「人体の構造と機能」「公衆衛生学」などの関連分野について学ぶ機会があったことも、ミクロなレベルからマクロなレベルに至るまでの人間の営みの中で心理学を捉えることに繋がり、とても有益でした。
福森先生 学びのフィールドがすぐ目の前の地域/Localにあるということも総合科学部の魅力と言えますが、心理学の分野では実際にどのような学びをしていますか?
河村さん 所属している医療心理学研究室の活動の一つとして、徳島市内で行われたがんの啓発イベントに参加する機会がありました。イベントの運営に携わり、がん患者さんやその家族、医療従事者の方々との交流の中で、文献や論文では知り得ない生の声を聴けたことは、とても良い経験となりました。
また、がん治療に携わる医療従事者の方々から医療現場における心理職の必要性についてお話を伺えたことは、メンタルヘルスケアの重要性を改めて認識し、将来自分もそれに携わっていきたいという気持ちを一層強くしました。
福森先生 地域で学んだことをグローバルな目線で振り返ってみると、どんな価値があると思いますか?
河村さん がんに罹患する人は世界的にも増加しており、日本では今後間もなく、がん罹患数150万人の時代が到来すると言われています。先に述べたがんの啓発イベントは、国際的なイベントとしても展開されており、海外からの参加者もみられます。地域における活動が国際的な動きと同調して注目を集めることで、がん対策のネットワークがより強固なものとなり、国際的ながん対策を促進できる可能性があるのではと考えています。また、がん患者の中には、心理社会的な苦痛を抱えられた方も多く、こうした方々に対するメンタルヘルスケアを拡充していく必要があります。ケアのあり方もまた世界の情勢と連動しているため、常にグローバルな視点をもち、かつその国やその地域独自の文化をも考慮した上でケアのあり方を考えていく必要があると思います。
福森先生 地域のイベントに参加し、患者さんのグローバルな課題解決への道筋となるのですね。総合科学部らしい地域と協力した取組ですね。

心身健康コース4年・河村 有咲

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