地域との連携を通じて学ぶことで、共感と協力の大切さを実感

2024.04.16
佐原先生 総合科学部にも芸術系の学びがありますが、映像デザインとはどのような学びですか?
山本さん 映像によるデザインという学びは、地域の映像資源の発掘やそれらのアーカイビングの活用を通して地域情報を可視化したり、失われてしまった文化や風習を観光資源として復活させるなど、地域ポテンシャルを地方創生のデザインに活かす学びです。
佐原先生 目の前の地域/Localに学びのフィールドがあるということも総合科学部の魅力と言えますが映像を通じてどのような実践をしていますか?
山本さん 活動の1つとしてFilmCycleProjectという8mmフィルムのデジタルアーカイブ化があります。個人が撮影した映像は時代とともに喪失していくばかりです。地域の映像資料としても価値を再発見し、ストーリーと共に収集する。それを現代のSNSのように過去の事象を振り返られるような巨大なデータベースの作成と活用を目指しています。1つ1つ個人が撮影したフィルムに触れ、見れなかった映像を見れるようにお返しし、多くの笑顔とストーリーに出会えた際に地域に貢献できたと実感しました。
佐原先生 目の前の地域で学んだことをグローバルな目線で振り返って、どんな価値を見出していますか?
山本さん 実はこのプロジェクトはフィンランドのAalto大学とも共同で進めました。フィンランドの大学院生の祖父母世代の写真のカラーを復元したり、取材を進める中で日本とフィンランドの共通した歴史や価値を発見することができました。また一連のプロジェクトは米国の「包括的なデジタル化と探索可能性のためのプログラム」CDDP Awardでイェール大学に続き最優秀賞を受賞しています。
佐原先生 総合科学部での学びと、地域社会で取組んでいる活動を通して、どのような学びを得ていますか?
山本さん 地域で眠っているフィルムをデジタルアーカイブ化して残していく活動をゼミで行っています。活動の一環として、提供者の方々に当時の徳島についてお話を伺いながら、預かったフィルムの上映会も行っています。地域の方々と直接交流するという活動を通して、自分が暮らす街には地域の方々の思い出が詰まっているという意識を強く持つようになりました。徳島で育ち、働き、結婚し、子育てをしてきた人々の思い出が、フィルムにたくさん詰まっていることを知り、一人一人が異なる人生を徳島で築いていることを改めて実感し、徳島に対する誇りや愛着が強まりました。
佐原先生 現在世界が抱える様々な課題の中で、どのような問題に関心があり、その解決に向けてどのような取組みが必要だと考えていますか?
山本さん ジェンダー平等やLGBTQ+の権利に関する問題をニュースやSNSで目にすることが多く、関心を持っています。国や自治体が法整備を行って権利を保護するべきだというのは勿論ですが、個人としてできることとしては課題に対して問題意識を周りに促すことが大切だと思っています。ジェンダーに関する問題だけではなく、どんなグローバルな課題に対してもそうですが、例えば家族や友人と気軽に話し合ってみて、まず課題について知ること、課題に対して自分なりに目標や意見を持つことが大切ではないでしょうか。
佐原先生 今後どのようなキャリアを築きたいですか?また、グローバルな課題解決に将来どのように貢献していると思いますか?
山本さん 公務員になって、自分のクリエイティビティを活かしたキャリアを目指したいです。新しい視点やアイデアを生み出し、従来の枠組みにとらわれずに課題にアプローチすることで、地域を改善し、徳島から世界の課題の解決に貢献したいです。民間企業ではなく、公的機関の一員として、地域社会との連携を通じて、地域の意識向上や生活の質の向上に取組むことで、より住み心地の良い地域を実現することができます。そして、その取組みが、世界全体の持続可能な社会への貢献にも繋がると信じています。
佐原先生 地域での取組みもグローバルに広げ国際的な理解につながっていきますね。総合科学部らしい多様な学びの統合といえるでしょう。

氏名:山本 一絵
所属:徳島大学総合科学部社会総合科学科地域創生コース4年次

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