早期化する就職活動と徳島大学の就職支援

2024.04.04

キャリア支援室 就職コーディネーター 鳥羽 美帆

早期化する就職活動

 アフターコロナを迎え、今後需要の高まりを見越し採用人数を増やす業界や、今後の離職に備え採用を強化する企業が増えています。企業の採用意欲が高まり、学生の獲得に向け採用活動を前倒しにする傾向が続いています。
 また、2025年3月卒業・修了予定者(以下「25卒」と言います。)以降からインターンシップの定義が変更され、更なる就職活動の早期化の一因にもなっています。従来、経済産業省、文部科学省、厚生労働省の合意による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(三省合意)では、インターンシップで得られた学生情報を採用活動に活用できませんでした。しかし、25卒からは汎用的能力・専門活用型インターンシップや高度専門型インターンシップを行うといった一定の基準を満たしたインターンシップであれば、採用活動開始以降に学生情報が活用できるようになりました。
 これらのことから、企業側は、早期に優秀な人材の確保が可能になります。インターンシップは、エントリーシートや面接だけでは見えない学生の人柄をより理解し、社員や社風との相性を確かめる場にもなり得るでしょう。
 また学生自身も、就職活動を意識したインターンシップに参加することで、その企業で働くイメージの明確化や自身の能力や今後伸ばすべき点など、自己発見の機会になります。受けたい企業へ自身のアピールにもなり、チャンスが増えたと考えてもいいのではないかと感じています。
 株式会社マイナビの調査によると、25卒学生のインターンシップ・仕事体験の参加率は89.5%と前年度よりも(1.9ポイント)増加し、調査以来過去最高の数値になりました。平均参加社数も前年度より(0.3ポイント)増の6社となっており、インターンシップへの参加が当たり前化しつつある現状にあります。

出典:株式会社マイナビ
マイナビ2025年卒インターンシップ・就職活動準備実態調査(中間総括)

ミスマッチない就職活動の重要性

 厚生労働省の発表した資料によると、新卒の3年以内の離職率は、令和2年3月(2021卒)の卒業者で32.3%と前年度よりも0.8%高くなり、長きに渡り3割を超えています。企業側、大学側、学生側、三方にとっても早期離職は防ぎたいところだと感じています。
 そのために企業側も、採用前においては、自社にフィットした採用ターゲットを見極めることや、多様化する考えや働き方の導入を検討する動きも増えています。また、採用活動においても、インターンシップ、座談会やOB・OG訪問の受け入れなど、実際に働く社員の生の声を聴く機会提供や、最終面接では対面面接を実施し学生と企業、双方がより自社で働くイメージを持てるかといった点も重要視しています。
入社後も、研修制度の拡充や社内コミュニケーションの強化により、相談しやすい環境づくりなど新入社員を迎え入れる体制を整えることも、求められています。
 大学側も、来室された企業様へ、社内の様子や研修制度の詳細など求人票からは読み取れない情報を確認しています。また、入社後のギャップを少なくするため、学生が希望する働き方など動向をお伝えし、学生への理解を深めていただくよう努めています。学生へも、社会に出てから求められる能力向上を目指した授業やガイダンスなどを実施しています。
 また学生も、自身が何をしていきたいのか、何を大切にしたいのか優先事項など就職活動の軸を見つることが大切です。給与や福利厚生の条件のみならず、仕事内容や働く環境面、将来どのようになっていたいかなど、考えていくことが重要になります。そのためにも、多くの方と接点を持ち、自分自身への理解を深めることや様々な企業情報にアンテナを張ることが大切になってきます。

就職活動を行う皆さんへ

 初めての就職活動に加え、変化する就職活動に不安を感じている学生もたくさんいるかと思います。学業との両立や公務員・院への進学から企業への進路変更など、焦りを感じる学生もいるでしょう。しかし、焦りは禁物です。社会人として働く1社目を納得いくものにするため、ミスマッチを起こさない就職活動をすることが重要です。
 キャリア支援室では、個別の就職相談や自己分析、業界研究のガイダンスの実施、面接練習などを行っており、学生の要望に合わせた対応も行っています。また、何から手をつけていいのか分からないといった場合も、状況を整理し、一緒にキャリアを考えるお手伝いをしています。
  些細なことでも構いませんので、気軽に利用してほしいと思っています。皆さんの来室、お待ちしています。

徳大生の徳大生による徳大生のための就職活動記

総合科学部 社会総合科学科 4年
大前 理咲子(おおまえ りさこ)
徳島県阿南市出身
内定先:株式会社阿波銀行

総合科学部 社会総合科学科 4年
槙野 涼太(まきの りょうた)
徳島県徳島市出身
内定先:日亜化学工業株式会社

(インタビュアー)
今日はよろしくお願いします。さっそくですが、自分はまだ2年生で就職活動って何なんだろうとあまり掴めていないので、これが就活だ!というエピソードを教えてほしいです。

(槙野)
エントリーシートを提出して、「残念ながら・・・」というお祈りメールが来た時、これか・・・!と思いました。

(大前)
私は自己分析の重要性ですね。右も左も分からない時に、とりあえず自己分析を進めていきましょうというのを見て、自己分析とは何ぞや、それって大事なのかな?と思ったけど、やり始めたら自分がどういう人生を辿ってきてどういう想いなのか、何がしたいのか見えてきて・・・。就活の目的で始めたけど、自分自身の深みが出てきた気がします。

(インタビュアー)
就活中に特に苦労したことはありましたか。

(槙野)
生活リズムが崩れて眠れなかったことです。結局克服することはできなくて、就活の結果が出てやっと克服できたと言えます。駆け抜けました。

(大前)
選ぶ基準が他人軸になっていたことです。自分がしたいこと、やりたいことよりも、親など周りが喜んでくれるところを無意識に探していました。他人軸になりすぎて、自分って何なんだろうとなってしまったので、一回全部頭を真っ白にして、自分が何をしたいのかを紙に書き出しました。そうしたら、私は徳島にいたくて、地方創生がやりたくて、人と関わる仕事に就きたいんだとまとまって、たまたま周囲の想いとも一致していたので、ここにしようと決めることができました。

(インタビュアー)
どんな風に就活の情報を得ていましたか。

(大前)
私は人に頼るべし!ということでキャリア支援室や、学部にもキャリア支援をしてくれている方がいるので助けられました。エントリーシートもキャリア支援室等で見てもらっていました。

(槙野)
まずは気になる企業をリストアップして、就活サイトをチェック。その後企業の採用サイトにリンクするので、そこから情報を得ていました。大学院は縦の繋がりがあるけど、学部は先輩に聞くという風潮がないので・・・。

(インタビュアー)
就活をするときにやっておいてよかったこと、やっておけばよかったことは何ですか。

(槙野)
僕は面接でアルバイトの話はしてなくて、基本的に大学でのゼミ活動とか部活動の話をしました。ゼミ活動では引っ張っていく役で、部活動は初心者だったので会計などサポート役をしていました。おそらく企業は、どちらのタイプの人材が欲しいというのがあると思います。その時に、色々な役ができるということを伝えられたらいいなと。色々な立場を経験することと、自分の意思を持ってやっていくこと、普段からそれを考えながら過ごしていました。

(インタビュアー)
今、就活に向けていろいろやらなきゃと思って、裾野を広げ過ぎて収拾がついていなくて・・・。色々抱えすぎないようにはどうすればいいですか。人に頼るコツも教えてほしいです。

(大前)
締め切りに関してはタスク管理ですね。朝起きて、to doリストを見て達成したら消す。あと、色々立て込んで、「どうしよう、やばい」と思ったら、一回やめる。友達とご飯にいったり、好きなことをしてリラックスする。自分は人に悩みを聞いてもらって発散します。結局、最後はみんなどうにかなるというテンションで(笑)。

(インタビュアー)
先輩たちの話をたくさん聞かせていただいて、漠然とですが、一人で抱えこまず周りを信頼できる、また周りに信頼される社会人になりたいと思います。

TOP