徳島大学総合科学部は、語学や文化、社会、情報など多様な分野を横断しながら、「なんでだろう?」「もっと知りたい」という素朴な疑問を出発点に、世界と社会を探究していく学部です。英語をただ覚える勉強ではなく、ことばの使われ方や、言語が形成される裏にある文化や価値観、ジェンダーといった社会のしくみに目を向けながら、研究として深めていくことができます。授業やゼミでは、音やリズム、映像を使った学びや、海外の学生とオンラインでつながる国際的な学習にも挑戦します。実際の世界とつながりながら学ぶことで、英語を使って考え、自分の言葉で伝える力が育っていきます。英語教育を専門とするカイザー先生と、ディズニーが大好きで「好き」をきっかけに徳島大学で学ぶ谷さん。二人の対談を通して、「英語ってこんなふうに社会とつながるんだ」という新しい発見を、ぜひ感じ取ってください。


それぞれの研究の交差点
-まず、お二人が現在の研究でどんなことをしているのでしょう? Kaiser 先生は、英語教育の専門ですね?
Kaiser先生 私の研究は、英語教育および教員養成を中心とした言語教育研究に取り組んでいます。小学校から中学校・高等学校に至る英語教育を対象に、音韻意識の育成、リズムや音節に着目した学習、多感覚を用いたサポートの活用を通して、学習者のコミュニケーション能力をいかに効果的に伸ばすことができるかを検討しています。併せて、これらの指導法を日本の学習指導要領の枠組みの中で、英語教育の現場の教員が実践可能な形で導入・定着させるための教員研修モデルの構築にも取り組んでいます。
-なるほど、かなり実践的な英語教育の研究をされていらっしゃるんですね、谷さんはいかがでしょう?
谷さん 私が現在取り組んでいる研究テーマは、「英会話表現に見られるジェンダー的差異」です。その題材としてディズニープリンセス作品に焦点を当て、白雪姫から始まったプリンセス作品が時代と共にどのような変化を遂げているのか、登場人物の性別と使用されている英語表現の特徴を基に分析を進めています。
-一見するとカイザー先生の英語教育学と谷さんのディズニーの研究には関連性が薄いのかな?とも思うのですが、どう言ったところで結びついていますか?
Kaiser先生 実は今、日本の外国語科検定教科書におけるジェンダー表象を分析する研究にも取り組んでいるんですね。近年は国際的な教育実践にも研究の幅を広げていて、COIL(Collaborative Online Interactive Learning)を通じて、徳島大学総合科学部国際教養コースの学生と海外協定校の学生・教員による国際協働学習を行っていて、その中でも総合科学部の学生はオーストラリアの学生とSDGsに関連したジェンダーについてディスカッションをしていたりするんですよ。
谷さん 私もじつはマレーシアでの留学中ジェンダーの授業を履修し、世界の理想とする女性像の変遷について学んでいたんです、それで社会言語学をジェンダーの観点から研究することができないかと考え始め。カイザー先生のゼミに所属し文化的背景・階級・歴史など様々な社会的要因から言語運用について学びを深めてきています。

英語は私たちの在り方を探究する入り口
-なるほど、英語教育の中でもジェンダーなどの社会課題をあつかっていて、そこを掘り下げられるんですね。
Kaiser先生 そうなんです、総合科学部では学生が自ら問いを立て、理論と現実社会を結び付けて考える力を育むことを重視しています。国際教養コースでは英語を学ぶのではなく英語をとおして世界を見つめ捉え直す、難しい言葉でいえば社会を再文脈化する分野横断的な学びを実践しています。
谷さん 私がすごく興味深いなと思ったのは、時代と共に人々が描く理想の女性像は変化していて、それに伴って例えばディズニーのプリンセス作品の描かれ方も大きく変化しているんですね。社会言語学において「男性的」とされる表現の特徴である、命令するような直接的な表現が現在ではプリンセスにも多用されていたり、逆に「女性的」とされるMay beのようなあいまいな表現が現在では女性よりむしろ男性キャラクターの方に目立ってみられる特徴であったりと、「王子様の迎えを待ち続ける受け身で控えめなプリンセス」から「自ら幸せを掴みに行く強く勇敢なプリンセス」のように言語表現においても女性像の変化が顕著にみられるんです。

国際社会の一員としての学び
-具体的に社会のなかでの女性の役割がアニメーションのフレーズにも表れているのがよくわかります。こうした学びは具体的にはどういった場面で生かされていきますか?
Kaiser先生 まずこうした知識は国際社会におけるコミュニケーション能力や異文化理解の基盤ですよね。異なる文化や価値観を理解し、他者と協働しながら多様な課題の解決に取り組むには実践的な経験として言語を学ぶことがとても大切だと思っています。卒業生は、こうした多角的な視野をもって英語教師として教育現場で活躍するほか、高度な英語運用力と調整力を生かし、例えば国土交通省の航空管制官、観光・国際イベントなど多様な分野で専門性を発揮しています。ここで何よりも強調しておきたいのは、現在進行形で多々新陳代謝が起きている言語、その言語が生まれる背景で見え隠れするジェンダーロールの不均衡や、アイデンティティの問題など、社会が多様性を受け入れ、包摂的で公正であるためには異文化理解に根ざした言語教育が重要だということです。
谷さん 私は、留学を通して多様な人と交流し視野を広げたいと考え、総合科学部へ入学しました。実際に、3年生の前期にはマレーシアで交換留学を経験し、人種や文化背景の異なる多様な人との出会いを通して語学力はもちろん国籍を越えたコミュニケーション力、異文化を理解し尊重する力など、多くの面で成長することができました。また、4年時にはフロリダウォルトディズニーワールドでのインターンシッププログラムに参加し、世界中から訪れるゲストに思い出に残る特別なひと時を提供しようと奔走した経験から、課題解決力、継続力、相手に寄り添う力などといった能力面ではもちろん、忍耐力やストレス耐性などの精神面でもさらに大きな成長を遂げることができました。授業で必要な知識を身に付けるだけでなく、実際に海外に行って多様な社会的バックグラウンドを持つ人たちと交流する中で、これまでの学びが生かされていると感じます。
高みを目指せる、それが総合科学部の国際教養コース
-総合科学部では高いレベルで国際的な活躍ができるように成長できそうですね!
谷さん そうですね、研究や留学経験を通して身に付けた、物事を柔軟に考え多様な人とコミュニケーションを取ることができる力は、「グローバル人材として日本の成長に貢献したい」という私の思いを叶えるうえで欠かせないものであると思います。在学中身に付けた多様なスキルと今や世界中にいるたくさんの仲間とのつながりを武器に、日本はもちろん世界で活躍できる人材へと成長していきたいです。
Kaiser先生 総合科学部の魅力は、幅広い専門分野を横断しながら、社会と強く結び付いた学びを深められる点にあります。そのための留学制度もしっかりと準備されていますし、留学先の海外協定校は年々増えています。語学や文化、社会、情報などの分野を基盤に、現代社会が直面する課題を多角的に捉え、理論だけではなく、実際の国際社会の現場での実践と結び付けて考える力を養うことができます。国際教養コースに限らず、留学に対応できるだけの英語力を育むためにAcademic Communication of Englishプログラムが用意されているのも、安心材料ですね。留学生と話す機会が多いのも良い環境だと思います。


