学科 / コース:社会総合科学科 国際教養コース
留学先 / 期間:開南大学(台湾) / 2023年9月~2024年6月
●いつごろから留学の準備を始めましたか。または意識しましたか。
周りの国際教養コースの知り合いが「留学行った」「留学したい」と言っている中,私は2年生の途中まで全く留学に興味がなく,留学どころか国際交流イベントにも参加したことがありませんでした。しかし私が2年生の秋10月17日,私の好きなゲーム実況者おついちさんが,台湾の国民党統治下の白色テロルという実際の歴史をテーマにした「返校」というホラーゲームを実況しているのを見て,急に台湾に興味を持つことになりました。そしてちょうどその頃大学で長期交換留学の説明会があるというメールを見ていたので,勢いで10月28日の説明会に参加しました。そこから留学に向けて一直線に準備を始めました。
●なぜ留学先にその大学(またはプログラム)を選びましたか。
台湾に留学すると決意したものの,元々は全く留学や台湾に関心がなかったため,中国語が一切話せませんでした。第2外国語は中国語を履修していましたが,まさかこの先の人生で活用する機会なんてないだろうと思っていたので本当に全く話せない,聞けない,語彙がないという状態でした。そのため語学面があまりにも不安だったので,比較的わかる英語が使える大学にしたいと思い,開南大学を選びました。
●留学に向けてどのような勉強をしましたか。
大学の授業とその復習を中心に勉強しました。交流スペースで少し留学生と英語で話すこともありました。といってもほとんど何もしてなかったと言えるレベルです。特に中国語は教科書の例文と文法だけ覚えて台湾に行きましたが,使えるレベルからは程遠かったです。
●留学中、現地の方や他の留学生と、どのような交流がありましたか。
私の場合,まず日本人の他の交換留学生と仲良くなって,そこから友人と一緒に授業などで知り合った台湾人と勉強会をしたり,ごはんに行ったり,遊びに連れて行ってもらったりしていました。また寮住みで,一緒に暮らしていたルームメイトがベトナム人だったので,言葉がわからないながらも翻訳アプロや中国語を使って互いに快適に過ごせるように話し合ったりしていました。
●留学中の楽しかったエピソードを教えてください。
日本人,台湾人問わず,友人と台湾をぶらぶらするのは楽しかったです。特に正規留学生で良くしてくれた友人が十分に連れて行ってくれて,夜空にランタンを飛ばせたのは修学旅行みたいで楽しかったです。
●留学中、困ったことはありましたか。
大きく分けて二つ,中国語と寮生活で苦労しました。中国語については,私が周りと比べても圧倒的に中国語ができなかったので,予備校で数百時間以上みっちり中国語学んでいた正規留学生の方々と一緒に受ける中国語の授業についていくことがなかなか大変でした。また台湾人の方と意思疎通を図るのも最初は難しく,他の留学生の友人が中国語でコミュニケーションをとっているのを,意味も分からず見ていることしかできなかったのは,悔しかったです。寮生活については,ベトナム人との共同生活が個人的に非常にストレスフルでした。公共スペースに残飯やごみを放置する,そのゴミや残飯で10個くらいあった洗面台の半分が詰まって使えなくなり,残飯が腐って悪臭や虫が湧く,また深夜12時以降も大音量のスピーカーフォンで電話したり,集まって騒いだりするなど,本当にストレスでした。張り紙で注意しても,掃除しているアピールをしても効果ゼロでした。ルームメイトのベトナム人とはLINEグループを作って話し合ったところ,ある程度折り合いをつけることができましたが,国が違えば価値観,感覚も違うので,最後まで私の言いたいことは完全には伝わっていなかったように思います。
●留学前と後で自分自身での変化はありましたか。
留学することによって,海外に行くことへの漠然とした恐れが消え,それとともに海外に対する漠然とした憧憬もなくなりました。要するに「海外って大したことないなあ」と思いました。今までずっと日本で暮らしていたので,日本を心地よいと感じながらも,ネットやニュースで日本の海外と比べて遅れているところをたくさん見聞してきて,なんとなく日本という国に自信を持てずにいましたが,海外に行くことで日本の良いところを実感し,自信をもって愛国心を持つことができるようになりました。
●留学で得たものは何ですか。
愛国心と若干の中国語能力と異文化交流についての理解です。留学で海外に行くことで日本の良さに気付き,愛国心を育むことができました。中国語も毎日ネイティブの中国語を聞いて,聞いて,教科書を読み込んで,話す努力をしていれば,少しですが使えるようになりました。ただ今回得た中で最も大きな学びは,最後の異文化交流についての理解です。学生の皆さんは政治家やビジネスマン,先生方からグローバル社会において異文化理解,異文化交流は大事だと散々言われてきて,「なるほど,それはそうだ」と思っていたのではないでしょうか。それはそうなのですが,しかし皆さんは「異文化理解」「異文化交流」とはどういったことなのかということから本当に理解できているでしょうか。私はこの台湾への留学で,ベトナム人と一緒に寮生活をし,日本人と台湾人の国際カップルと恋バナをし,時に相談に乗って,ようやく理解できた気がします。異文化交流って難しいです。お膳立てされた国際交流イベントで超フレンドリーな外国人と1時間英語で話しただけの異文化交流なんて,1%も異文化理解できません。というかラブラブの国際カップルでも理解できない部分があると言っているのだから,100%異文化を理解するのはほぼ不可能だと思います。ただ完全に理解できないまでも,相手の考えを理解するように努め,できる限り異なる背景をもつ相手を尊重して対話を行うことが異文化交流だと思います。私はこの留学でそのように感じました。
●留学での経験が生活にどのように影響しますか又はしていますか。
私の場合,日本に帰ってきてから留学での経験が目に見える形で影響することはありません。留学中に感じたことや学んだことが少しだけ自分の中に残って,社会や自分の展望を考えるときにチラッと思い出されるだけです。
●これから留学を考えている人へのメッセージをお願いします。
留学する人には,「海外最高!」となる人と「日本最高!」となる人の二種類いると思います。前者の方は留学をエンジョイして,その後も益々語学を習得して海外を飛び回りながら目覚ましく成長していくと思うので,そのまま頑張ってください。後者の方は留学に退屈したり,後悔したりして,帰国後に少し自信を無くしてしまうかもしれません。しかし自分で失敗したと思うような留学経験でも,確実に自分をより深く理解し,今後の人生を考える上で重要な自分の軸を見つけることができると思います。ちなみに私は後者でした。あなたの留学がどのようなものになるかは行ってみてのお楽しみですが,「海外最高!」「日本最高!」のどちらになっても留学の元は取れているので,安心して頑張ってください。(でも留学前にある程度中国語わかると格段に楽になると思うから,時間ある人はぜひ文法書ではなく単語帳を買おう。)