留学体験記 – 志水 祐太さん

学科 / コース:人間文化学科 国際文化コース
留学先 / 期間:慶北大学(韓国) / 2013年9月~2014年6月

●いつごろから留学の準備を始めましたか。または意識しましたか。
大学に入った当初は留学など全く考えていませんでしたが、とにかく英会話の活動に参加するうちに、留学経験のある人とたくさん知り合うようになって、次第に自分も行ったほうがいいんじゃないかと考えるようになりました。留学の手続きは留学渡航の半年以上前に締切があったのですが、その時点で二年生の後期だったので、締切直前に「この機会を逃すと間に合わない」と思い、留学に行くことを決めました。

●なぜ留学したのですか。
国際文化コースに所属しているので、国際的な感覚を身につけるために、まず自分が外国に住んでみること、また日本を外からの視点で見てみたいと思っていました。語学力を身につけたいというのも勿論ですが、外国人として他の国で生活する体験をしてみたかったのが大きな理由です。

●なぜ留学先にその大学を選びましたか。
尊敬する先輩の一人に、同じ大学に留学した人がいて、その人を一年生の頃から知っていましたが、周囲の先生はその先輩の事を「留学に行ってから別人のようになって帰ってきた」と言っていたので「一年でそんなに人を変える場所ってどんな所なんだろう」という興味があり、そちらの大学に行ってみたいと思いました。英語を勉強できる環境がありながら、英語圏の国より留学費用をかなり抑えられるのも決め手でした。

●留学に向けてどのような勉強をしましたか。
正直、留学が決定してから始めたことはこれといってありませんが、一年生の頃から英会話にはとても興味があったので、地道に英会話活動(ECR、ESRや留学生交流イベント等)に足を運んでいました。留学に渡航する頃には、簡単なやりとりなら英語でできるし、一人で海外を旅するのも英語に対応しているところであれば苦労しながらでも何とかやっていけるだろうと思える程度には自信がついており、実際、渡航してからも日本語が話せない人との交流では主に英語を使っていたので、大学での経験が活きたと思いました。 

●留学中、現地や他の留学生との交流はありましたか。
韓国に留学に行った、と話すと、よく「英語の勉強をしたいのに何故、韓国に行ったの?」と聞かれるのですが、実は留学先の大学では、他の国からの留学生の数も非常に多く、その多くの人達とのコミュニケーションは基本的に英語で(しかも皆、当り前のように)行います。それぐらい、色々な国から留学生がきていて、中国、ヨーロッパ諸国、東南アジア、中南米、アメリカ…など出身は様々で、そんな中で毎日生活していました。勿論、韓国なので韓国の学生との交流もあり、韓国文化を教えてくれたり、遊びに連れて行ってくれたりしました。

●留学中の楽しかったエピソードを教えてください。
一年の間に韓国内の色々な場所に旅行に行けたこと、日本にいた頃はあまり得意ではなかったお酒を楽しんで飲めるようになったこと、韓国語のクラスで他の外国から来た人と一緒に韓国語を学んだこと、の3つでしょうか。あと、半年間ルームメイトが中国人だったのですが、一緒に生活していると、意外なことや新鮮なことがあって面白かったです。

●留学中、困ったことはありましたか。
韓国語はあまり話せないのですが、見た目は同じ東アジア人なので、何も言わない状態だと韓国人だと思われてしまうことが度々あり、お店や道端で当り前のように韓国語で話しかけられるということがありました。「すみません、韓国語が上手に話せないんです」って韓国語で言うと、ますます怪訝な顔をされたり…。他の留学生とは英語で会話するといいましたが、ノンネイティブが多いので、色んなアクセント・話し方の英語を聞き取るのに苦労することも多かったです。自然と友達は発音が綺麗な中国人や韓国人の方が多かったように思います。あと、留学中は大学の寮に住んでいて、食事は基本的に両の食堂だったですが、ご飯以外全部辛い食べ物というような時もあって、辛いものを食べたくないときなんかはつらかったです。

●留学前と後で自分自身での変化はありましたか。
他の留学経験者から、よく「留学を経験してから自分の性格が日本人らしくなくなった」という話を聞きますが、私はむしろその逆で、日本にいた頃は特に意識していたかった「自分は日本人だ」というアイデンティティーを強く感じるようになりました。外国で自己紹介するときは、徳大生でも、京都出身でもなく、まずは「日本人」であることを話します。年上の人には敬称や敬語を使わないと何となく落ち着かないし、自分の意見を言う時も断定表現は避けがち。日本にいると多くの人がそうだから気になりませんが、外国にいると必ずしも皆がそうではない。そういうことに気づくうちに「やっぱり自分は日本という文化の中で育った日本人なんだ」と強く自覚するようになりました。そして「日本ではどうなの」「日本は~だって聞くけど」という話題を振られたりするうちに、世界から日本がどういう風に見られているのかに対する考えが変わったように思います。

 また、外国人を以前ほど強く外国人として意識することなく、「~の国からきた、~さん」だと思えるようになったと思います。

●留学で得たものは何ですか。
外国人の友達です。未だにSNSを使ってメッセージをやりとりする関係が続いている友達もけっこういます。特に、日本に興味のある中国人や韓国人の友達は日本に遊びにきてくれたりするので、そのときに再会して案内したりといったこともあります。

 後は、変な話ですが「留学経験者」というだけで、いきなり国際人扱いされるというのか、帰国後も色々な機会に恵まれるようになりました。高校生に体験談を話したり、留学説明会に参加したりと、自分にとっても貴重な体験をさせてもらえるようになりました。

●留学での経験が生活にどのように影響していますか。
「リバース・カルチャーショック」という言葉があるようですが、私は帰国後も特に困ったことはありませんでした。ただ、お酒を飲むときはついつい年上の人から顔をそらしたり、少し時間や規則にルーズになったりといった習慣的な変化はあったように思います。

 また、留学に行く前は、留学生と交流するとき「英語の練習がしたい」という気持ちが強かったのですが、最近は「日本語を教えたい、日本を知ってもらいたい」という気持ちの方が強く、留学生との関わり方も変わった気がします。

●これから留学を考えている人へのメッセージをお願いします。
大学生活の中で、留学をするのかしないのかで、大学生活全体が大きく変わってくるでしょうし、もしかしたらその後の人生に与える影響も大きいのかも知れません。ただ、行ってしまえば思いのほか「外国に行くのはそんなに難しいことじゃない」と思いましたし(或いは「思えるようになる」のかも知れませんが)、留学を大きな目標とするのではなく、留学経験をきっかけにその後の興味や可能性が広がっていくものだと思うので、留学したいと少しでも思うなら、まずは考えすぎずにとりあえず行ってみてはどうでしょうか。

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