コロナ禍での就職活動と徳島大学の就職支援(2021冬号)

2023.05.19

キャリア支援室 就職コーディネーター
三木 正久(みき まさひさ)

コロナの影響を大きく受けた 2021の就職活動

2021年3月卒業・修了予定者(以下「21卒」と言います。)の就職活動は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、例年にはない特別な状況になりました。大学生の新卒採用はここ数年売り手市場が続き、優秀な学生を確保したい企業の採用活動は年々早期化しています。特に2020年は、夏に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、首都圏を中心に交通機関等に大きな混雑が予想され、早めに採用活動を終わらせたいとする企業も多く、早期化により一層の拍車がかかるのではないかという見方が多くありました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大が、その状況を一変させました。2月に政府から出されたイベント自粛要請を受け、広報活動解禁となる3月以降、全国各地で開催が予定されていた大小様々な就活イベントが軒並み中止になりました。本学でも例年3月上旬に開催している学内合同企業説明会を中止にせざるを得なくなり、これを機に本格的な就職活動を始めようとしていた学生には大きな影響がありました。大学への通学が制限される中で学生同士の繋がりや情報交換をする機会も減り、大きな不安や孤独感を抱えたままで就職活動を進めた学生も多かったと思います。こうした影響は学生に限った話ではなく、企業の採用活動にも影響がありました。イベントの中止などで学生との出会いの場が失われただけでなく、4月の緊急事態宣言以降は採用活動の中断を余儀なくされる企業も多く、一部の公務員試験も延期になるなど、結果的に採用活動の後ろ倒しにつながりました。ただ、このような状況でもインターンシップに参加するなどして早い時期から企業との接点を多く持った学生は有利に就職活動を進めています。株式会社ディスコの調査によると、21卒では3月1日の内々定率が15・9%(前年比2・0㌽増)、4月1日の内々定率が34・7%(前年比8・3㌽増)と前年より高くなっています。コロナの影響により3月以降に新しく学生と企業の出会える機会が失われた一方、早い段階で接点を持った学生の選考が進んだことが窺えます。インターンシップは実施企業、参加学生とも年々増加しています。特にここ数年は、インターンシップを就職・採用活動の始まりとして捉え、インターンシップを機に、早期の選考に進むケースが増えていますが、コロナの影響でその傾向が顕著になったと言えます。

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コロナがもたらした就活新常態

コロナの影響は企業の採用活動にも大きな変化をもたらしました。その代表的なものが会社説明会や採用面接のオンライン化です。これまでは会場に足を運ぶのが当たり前でしたが、移動や集合が制限される中でオンライン化が一気に広がりました。オンライン化のメリットとしては、交通費や宿泊費、移動時間の負担が大幅に減ったことが真っ先にあげられます。地方の学生にとっては、自宅にいながら都市部の企業の選考を受けることが可能になったり、日程調整がしやすくなったことで選考を受ける会社数を増やすことにつながっています。企業側からは「これを機に地方の学生との接点を増やしたい」との声も多く聞かれました。逆にデメリットとしては「面接で自分の魅力や熱意が伝わらないのではないか」といった不安や、最終面接まですべてオンラインでの選考になり会社の雰囲気がわからない状態で意思決定を迫られるなど、学生・企業の双方がお互いの理解が深まらないまま選考が進んでしまうことなどがあげられます。当初は、これまでにない動きに不安を感じる学生も多くいましたが、どちらかと言えば好意的に捉えている学生が多かったように思います。コロナが終息したとしても、コロナ前に完全に戻ることはなく、オンラインでの説明会や選考は今後も続くと思われます。こうした状況を踏まえ、キャリア支援室で実施している「就職相談」でもオンラインでの相談を始めるとともに、オンライン面接に特化したガイダンスを実施しています。21卒では急な広がりに戸惑う学生も多くいましたが、22卒以降の学生は準備する時間がありますのでしっかり準備をして臨んでください。

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これから就職活動へ向かう皆さんへ

この原稿を執筆している時点(11月下旬)では、コロナの終息の兆しが見えず、経済の先行きも依然不透明な状況が続いています。今後、企業の採用意欲の低下、公務員志望者の増加など22卒以降の学生の就職活動は厳しくなることが予想されます。これから就職活動へ向かう学生の皆さんは、後悔のない就職活動を行うためにも、早めのスタートと活動量を増やすことを意識してください。21卒ではコロナという不測の事態が生じ、これまでの経験則が通用せず、学生・企業・大学とも手探りの中で就職活動・採用活動が進みました。先にも触れましたが早くから動いた学生に有利に働いたことは間違いありません。また、就職活動では自分のことを自分の言葉で他者に伝えることがとても大事です。インターンシップや会社説明会への参加、OB訪問など多くの企業や社会人と接点を持つことで、自分に対する理解や企業理解を深めてください。社会で必要なマナーなどが身に付きますし、面接も場数を踏むほど回答内容が洗練されていきます。研究活動などで忙しいと思いますが、できるだけ活動量を増やしましょう。最後になりましたが、キャリア支援室では、個別の就職相談や就活ガイダンスの開催、OB紹介などを行っていますのでぜひ活用してください。また「このようなガイダンスを開催してほしい」といったご要望もぜひお聞かせください。就職活動は初めて経験することが多く、不安が生じて当たり前です。些細なことでも構いませんので気軽にキャリア支援室にお越しください。

就職内定学生の就職活動体験談

総合科学部社会総合科学科4年 福間 崇史(ふくまたかし)

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就職活動を進める中で重要だと感じたことは、「一人で抱え込まないこと」・「取り掛かりを早くすること」・「必ず息抜きをする日を設けること」の3つです。まず「一人で抱え込まないこと」です。今年は新型コロナウイルスの影響で、思ったように就職活動が進みませんでした。特に私は鉄道会社を志望しており、航空会社が採用中止を発表したこともあって、鉄道会社もこうなるんじゃないかと、かなり不安になったことを覚えています。そのような状況の中で助けになったのは、家族や友人の存在です。就職活動は思った通りにいかないことがよくあります。私は、悩みや不安は思ったときにすぐに口に出すようにしていました。我慢して抱え込んでしまう方が良くないと思っていたからです。会話自体はたわいもないことでも、何か吐き出すだけで随分気持ちを保つのが楽でした。特に今年は面接もほとんどWeb形式で、人と話す機会がめっきり減ってしまいました。そんな時は家族でも友人でもだれでもいいと思います。悩みを直接打ち明けなくても、ほんのささいな会話でもきっと気持ちは楽になります。次に「取り掛かりを早くすること」です。就職活動には内定というゴールがあっても、スタートはないと思っています。多くの人は3年生の夏ごろからインターンシップに参加したりするでしょう。私もそうでしたが、就職活動は思ったよりも早く時間が過ぎていきます。エントリーシートの提出や筆記試験・Webテスト、面接と、解禁されてから対策していたのでは間に合いません。今年は選考開始が遅れたため、少し余裕をもって準備することができた一方で、急に予定が変わる可能性もあったので、いつ何が起きても良いように準備することは重要だと感じました。最後に「必ず息抜きする日を設けること」です。私の場合は一切就職活動関連のことをしない日を設けていました。何もしないでいると不安だと思われる方もいるかもしれませんが、ここまで何度か書いたように不安な気持ちを持ったまま進む方が良くないと考えていたので、定期的に気持ちをリセットする日を設けてモチベーションを保っていました。早く気持ちを切り替えられる人はそこまでしなくてもいいのかもしれませんが、私は焦っても仕方ないと割り切るようにしていたので、それが結果的には良かったと思っています。

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