留学体験記 – 小林 冬馬さん

学科 / コース:人間文化学科 心理・健康コース
留学先 / 期間:慶北大学(韓国) / 2015年2月~2015年12月

●いつごろから留学の準備を始めましたか。または意識しましたか。
母親の海外志向が高いことも影響して、大学入学前から海外留学は意識していました。2年生の春休みには大学のプログラムでアメリカ・ポートランドに短期留学し、そこでの経験が影響して長期の留学を強く意識し始めました。また、官民協働留学支援制度「トビタテ!留学 JAPAN」が始まり、手厚いサポートの中で海外留学に挑戦するなら学年的にこれがラストチャンスだと思い、交換留学と「トビタテ!留学 JAPAN」日本代表プログラムに応募することを決めました。

●なぜ留学したのですか。
時が来たと思ったからです。

 私は大学生活を通して、サークル、学生団体、NPOなど地域で活動をしていました。それらの活動を通して、県外、特に東京に赴くことも増え、自分自身の視野が広がるとともに、都市と地方の格差を感じるようになりました。そこで、次の一歩として、さらに自分自身の視野を広く、視座を高くするために、地域を飛び出して海外留学に挑戦したいと思うようになりました。また、「トビタテ!留学 JAPAN」が始まり、ただ海外の大学に留学をするだけではなく、海外で自分が感じたと都市と地方の格差を無くすことにアプローチするための活動が実現できると考えたからです。

●なぜ留学先にその大学を選びましたか。
慶北大学校を選んだ理由は、協定校の中で春から長期(1年)で留学できるということ、また、知っている先輩方が何人か留学されていて、情報があったからです。正直に言うと、海外留学をすることが最優先だったので、慶北大学校で学びたいことがあったわけでも、韓国に興味があったわけでもありませんでした。

●留学に向けてどのような勉強をしましたか。
正直に言うと、語学学習など留学に向けた勉強は特にしていません。留学当初、語学には本当に悩まされたので、これは大きな反省です。

 (私は留学開始3ヶ月後から大学内にある韓国語の語学学校(語学堂)に2ヶ月間通い、韓国語で大学の講義を受けられるレベルになりましたが、本来なら留学前にそのレベルまで引き上げておくべきだと思います。)

●留学中、現地や他の留学生との交流はありましたか。
留学生のお世話をしてくれるチューターを始め、現地の韓国人学生には留学中本当にお世話になりました。世界中から集まる留学生との寮生活や、大学が用意してくれる交流プログラムも刺激的なものでした。また、慶北大学校にはとどまらず、現地の韓国人学生と日韓関係についてディスカッションをおこなう日韓フォーラムなどにも積極的に参加しました。

また、日本人ではありますが、韓国に留学している「トビタテ!留学 JAPAN」日本代表プログラムの派遣学生を集めた「トビタテ韓国会」を数回開催し、韓国の各地から同志が集まって一緒に観光や食事をしたりもしました。

●留学中の楽しかったエピソードを教えてください。
寮のルームメイトのアゼルバイジャン人がとてもユニークな男で、彼との日常をよくSNSで発信してしまうほど、彼と過ごす時間は楽しかったです。

 また、韓国語を習得してからは、よく1人で近所を散歩したり韓国内を旅行して、現地の人と交流していました。韓国語にも方言があり、私の滞在していた大邱にも「大邱弁」があります。私の韓国語も大邱弁なので、よく旅行先で現地の方に「大邱弁を話す日本人」として可愛がってもらったのもいい思い出です。

 あとは、語学堂に通い、ただただ韓国語の学習に没頭していた2ヶ月間も、留学中という自分の時間を自分でコントロールできる環境にいたからこそなせたことなので、今思うととても充実していたと思います。

●留学中、困ったことはありましたか。
私生活に関しては、現地学生のチューターさんが困ったときにはいつも助けてくださり、留学期間中はかなり安心して過ごすことができました。

 ただ、私は留学中語学に関してはものすごく苦労しました。留学が終了する頃にはかなりスキルを向上させることができましたが、その過程で特に韓国語の独特の発音を習得し、実際に聞き分けることにはかなり苦戦しました。

 また、後期からおこなっていたインターンシップでは、現地の小・中・高に赴き、生徒に対して日本に関する授業をおこなっていたのですが、彼らや先生方のニーズに応え、質の高い授業をするためには毎回かなり準備に時間がかかりましたし、そもそも教壇に立つという経験がなかったため、当り前ですが最初のころは生徒の反応も準備した割にあまり良くなく、悩みました。

●留学前と後で自分自身での変化はありましたか。
内面の変化に関しては、自分の殻を少し破ることができたかと思います。具体的には、プライドを捨てることができたと思います。自分の計画が全く思うようにいかないという経験や、語学力不足で思っていることが相手に伝わらないという経験は、ぼくにとってものすごくストレスでしたし、現実をつきつけられたという感じでした。しかし、それらの経験を通して、少し完璧主義な自分にも気づくことができましたし、格好つけていても全く得しないと気づくことができました。プライドを捨てることで、語学力もみるみる上がりましたし、本音で語ることで自分の思いが伝わり、応援してくださる周りの方も増えたように思います。

 また、留学がたった1人の自分との戦いだと勘違いしていましたが、プライドを捨てることで、自分は周りの多くの方に支えられてこの留学が実現していることを留学中に実感することができたのは本当に大きかったです。

 余談ですが、外見に関しては韓国の辛い料理が原因か、かなり痩せてしまいました・・・!

●留学で得たものは何ですか。
現地での生活、学習、インターンシップなどの実践活動で得たスキルや経験、現地で知り合った人など留学で得たものは数え切れませんが、特に今にも役立っているものは、限られた時間の中で目標を達成する力(意識)だと思います。

 留学開始当初は何もかも上手くいかず精神的に辛かったのですが、私はトビタテ!留学 JAPANの派遣留学生として多くの支援を受けていたので、途中で投げ出すことはできませんでした。そこで、留学の目的を改めて認識し、時には計画を大きく変え、方向転換する判断も必要だということに気付きました。そのことに気づいてからは、留学中は常に行動⇒反省⇒改善を繰り返していました。いわゆるPDCAを回すということが自然にできていたのではないかと思います。

ただ、留学前の準備不足も祟って、留学前に立てた目的から今回の留学を評価すると、100点中30点くらいだと思います。ただ、何が駄目だったのかを理解できて今に生かせていますし、総じて言うと、留学に行って本当に良かったと思っています。

●留学での経験が生活にどのように影響していますか。
留学を通して、セルフマネジメントがある程度できるようになったと思います。留学生活中はサボろうと思えばいくらでもサボれますし、流されると自分の目標を見失ってしまいがちですが、そうならないためにも、留学中はほぼ毎日、1日の終わりにそのその日の振り返りをノートに書いていました。その習慣がついたことで、自分の目標と現状を把握することができましたし、毎日自分が何ができるようになったか、目標にどのくらい近づいたのかが分かり、日々のモチベーションを維持することができました。もちろんだれてしまうこともありましたが、「今なにをすべきか」「次の一歩はなにをするのか」を、自分の達成したい目標を見据えながら構造的に考え、行動できるようになりました。また、私は語学の習得にものすごく苦労しましたが、何かを身につけるには、正しい努力とそれなりの時間がかかるということを体感できたのは、帰国後の今も、何か新しいことを学ぶときに大きく役立っています。結局は基礎から地道にコツコツと積み上げること、当り前のことを当たり前にこなすことが大事ということに留学で気づくことができました。

 あとはたった1年の留学でしたが、「どこへでも行ける」と自信が湧きました。かなりフットワークは軽くなったと思います。

●これから留学を考えている人へのメッセージをお願いします。
このメッセージを見ている方は、留学に興味があるか、既に留学を決めている方だと思います。

 留学を迷っている人は、その原因をまず考えて、書き出してみましょう。お金、親への説得、休学、語学力、現地の治安、自分のやりたいことができる環境がどこなのか分からない、などとにかく書き出してみてください。お金に関しては、今は返済不要の留学奨学金や留学プログラムが学外に本当にたくさん転がっています。地方大学ではそういった情報を得ることは困難だと私も経験を通して感じていますが、ぜひ自分でもインターネット等で調べてみてください。それ以外に関しては、実際に留学に行ったことのある方の体験談を本やインターネットで見たり、何よりもお話を直接聞くのが一番かと思います。興味のある分野や行きたい国が決まっている人は、その条件で留学したことのある人の話を聞いてみるといいでしょう。

 留学を決めている方は、「留学はあくまで手段」ということを自覚し、留学を通して自分の夢にどう近づくか、今の自分とどう変わりたいか、を強く意識して、そのための準備(語学学習や現地の情報収集)に励んでください。

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